拠点施設・社会貢献支援員について
彩の国あんしんセーフティネット事業では、県内4ブロックそれぞれに拠点施設と社会貢献支援員を配置しています。社会貢献支援員は各実施施設の担当相談員のサポート役として、自立相談支援機関や市町村社協、福祉事務所など関係機関の職員と連携して担当相談員への支援や助言を行うとともに、初期対応を中心に担当相談員と共に生活困窮者への相談支援を行っています。 ※各ブロックの区割りは実施施設一覧のページをご覧ください。
○各ブロック拠点施設
第1ブロック:社会福祉法人名栗園 総合ケアセンター リバー・イン(川口市)
第2ブロック:社会福祉法人崇徳会 高齢者総合ケアセンター マザーアース(ふじみ野市)
第3ブロック:社会福祉法人松仁会 養護老人ホーム熊谷ホーム(熊谷市)
第4ブロック:社会福祉法人隼人会 まきば園(行田市)
第1ブロック社会貢献支援員
第1ブロック社会貢献支援員 熊木 氏
(社会福祉法人名栗園 総合ケアセンター リバー・イン(川口市) 写真左)
相談の様子
Q1.これまでに支援に関わった事例で印象に残ったのはどんなことですか?
社会貢献支援員になって様々なケースに関わり、関係機関・担当相談員の皆さんと一緒に支援を行ってきました。その中で、印象に残っているのが、DVを受けた女性とその子どものケースです。夫の暴力から逃げられたものの、離婚ができず、経済的に困窮してしまった世帯に関わったことで、本人の安全を考えるだけでなく、その先にも様々な課題があり、支援を必要としている方々がいるのだと実感させられました。
Q2.どのようなケースが多くありますか?
1人暮らしの高齢者の方で、年金収入を様々なことに使ってしまい、生活に困っているケースが多くあります。判断能力に不安がある高齢者への支援として日常生活自立支援事業(※)がありますが、自身のお金を制限されることに抵抗感を覚える方もいて、本人の意思や生活を尊重するなかで調整を進めていくのが難しいです。
※日常生活自立支援事業(愛称:あんしんサポートねっと)とは、判断能力の不十分な高齢者や知的障害・精神障害のある方などが、安心して生活を送れるよう、福祉サービスの利用手続きや日常的な金銭管理の支援を行う事業。都道府県社協が実施主体で各市町村社協が相談窓口
Q3.そうした大変さがある一方で、支援に携わって良かったと思ったことはなんですか?
たくさんありますが、例えば、ある世帯に電気代を支援した際、娘さんが「お父さん電気がついたよ」と嬉しそうに話されたとき。また、食べ物に困っている方へ食料をお渡ししたら、涙を浮かべて安心した様子を見たときなど、困りごとが解決したときの本人や家族の嬉しそうな様子を見て、支援に携われて良かったなと思いますね。
Q4.社会貢献支援員としてのやりがいや、大切にしていることがあれば教えてください。
制度の狭間にあって支援を受けにくい状態にある方へ、柔軟な支援ができることがこの事業の特徴だと思います。その中で、本人や家族の話を丁寧に伺うことを今後も心掛けていきたいと思います。
第2ブロック社会貢献支援員
第2ブロック社会貢献支援員 久保 氏
(社会福祉法人崇徳会 高齢者総合ケアセンターマザーアース(ふじみ野市))
訪問の様子
Q1.これまでの相談支援で印象に残ったのはどんなことですか?
コロナ禍の影響で生活にお困りの外国籍の方への支援に関わることが増えてきました。これまで、こうした人々がどのように暮らしているのか分かりませんでしたが、セーフティでの支援を通じて、同郷の人同士でつなぐコミュニティを持ち、福祉支援や仕事の情報などをよく共有していることが分かりました。遠い異国の地で互いに支え合っている様子を垣間見たことがとても印象に残っています。
Q2.相談支援の中で社協や自立等の関係機関とどのように連携したか教えてください。
それぞれの事例で状況が異なるため多様な連携のやり方がありますが、一つの例として、関係機関の方が事前に相談者より聞き取った情報を施設の担当相談員を含めて共に整理し、本人も交えながら各自それぞれのできる支援を共有しながらセーフティでできる支援を検討するなどしています。また、相談者の状況の変化に応じて新たな関係機関にも支援に関わってもらうよう働きかけ、自立した生活に向けて連携等をしています。
Q3.相談支援に携わる中でよかった、嬉しかったと感じたことは何ですか?
支援を開始してから終結するまで、関わる日数や方法は相談者それぞれの状況によって様々です。そんな中で、支援が終結してから数年後、ある相談者から「私たち家族が困った時に相談に乗り支えてくれる人ができて心強かったです。今は不安になることも少なくなり、子どもたちと楽しく暮らしています」と明るく報告してくれた時には、とても嬉しくなりました。
Q4.社会貢献支援員としてのやりがいや、大切にしていることがあれば教えてください。
社会貢献支援員は拠点をこえて他市町村の関係機関の方々と連携して対応をするので、新たな人との出会いがあり、緊張もしますが楽しみの一つでもあります。生活が困窮してしまう要因は人によって様々です。相談者の方の困りごとに耳を傾け、先入観にとらわれず寄り添った支援が出来るように心がけています。
第3ブロック社会貢献支援員
第3ブロック社会貢献支援員 小川 氏
(社会福祉法人松仁会 養護老人ホーム熊谷ホーム(熊谷市))
相談支援でセーフティネットの説明をする様子
Q1.社会貢献支援員として普段どんなことをしていますか?
それぞれの事例で状況が異なるため毎回同じではありませんが、例えば、関係機関から支援の相談が入った際に、まずご本人の様子やセーフティへの支援依頼の内容、どの関係機関が関わっているのかなどを確認しています。その中で、現時点で緊急の支援が必要か、どんな支援が考えられるか等を協議するとともに、担当相談員がいる会員施設へ繋ぎます。
最初は関係機関、担当相談員と共に相談者宅を訪問し、困りごとを整理して必要な支援について本人も交えて検討しています。
Q2.これまでにどんな機関、関係者と一緒に支援してきましたか?
事例によって様々ですが、市町村の社会福祉協議会、自立相談支援機関、行政の福祉担当課、地域包括支援センター、高齢・障害・保育などの社会福祉施設、NPO団体、学校関係者等の方々と連携しています。みなさん、それぞれの分野のプロフェッショナルな方たちばかりですので、一緒に支援を行う際には私も勉強させていただいています。
Q3.印象に残った事例、出来事などがあれば教えてください。
未成年の方で、家庭の事情から居場所が無く、シェルターから通学している方へ、セーフティネット事業を通じて食糧と通学費を支援したことがありました。将来について、「一人暮らしをしながら専門学校へ通いたい」と話していたその子は、支援後アルバイトや学校への入学が決まったと聞いてとても安心しました。未来ある若者の人生に少しでも役立てたかなと感じて印象に残っています。
Q4.セーフティネット事業の役割とはどのようなことだと思いますか?
既存の制度では支援が難しい方へ、状況に応じて緊急的な支援が可能なところが事業の強みだと思います。また、ただ支援するだけでなく、私たちの持つ福祉の専門的な視点から、相談者の背景にある福祉課題の解決まで行う、社会福祉法人の強みを生かした社会貢献活動だと感じています。
第4ブロック社会貢献支援員
第4ブロック社会貢献支援員 出雲 氏
(社会福祉法人隼人会 まきば園(行田市))
相談者へ事業説明をする様子
Q1.第4ブロックの特徴を教えてください。
1市町村あたりの実施施設数の割合が4ブロック中最も多く、各社会福祉法人に配置されている相談員数も多いのが特徴です。毎月または定期的に関係機関が集まり、連絡会議や支援調整会議を行っている市町村もあり、顔の見える関係性の構築に力を入れています。
Q2.現在、どのような相談や支援を行うことが多いですか?
近年の相談傾向としては、様々な理由をきっかけに失業、収入減となってしまったことから、光熱費や更新料を含む家賃の滞納などの相談が多くなっています。また、就職活動やそれに伴う各関係機関との連絡手段だけでなく、相談者を孤立させないという側面も含めて、携帯代を滞納した方への支援について、関係機関からの相談が増えてきています。
Q3.支援調整会議などの場においてどんなことを伝えてますか?
まず、関係機関のセーフティネット事業に対する理解があることで円滑な支援にもつながるため、事業の現状や支援内容における変更点などを毎回お伝えしています。
また、支援調整会議等で検討されるケースについて、セーフティネット事業の強みである柔軟な支援が可能かどうかはもちろん、支援が難しい場合でもこれまでの相談支援の経験を活かして、活用できそうな支援策などをお話することもあります。顔の見える関係づくりの場として施設相談員とともに参加することも多いです。
Q4.関係機関のみなさんへメッセージをお願いします。
セーフティネット事業の取り組みを通じて、社会福祉法人が持つ専門的な視点を活用し、相談者の背景にある福祉課題の解決に努めることと、状況に応じて柔軟な支援を行っていくのがこの事業の強みです。また、地域で暮らす方々が安心して暮らせるまちづくりに参画し、これからも相談者の立場に立って親身に相談支援に取り組んでいきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。